東大理3生が語る共通テスト数学の極意
東大理3生が語る共通テスト数学の極意

東大理3生が語る共通テスト数学の極意

共通テストまで残りわずかとなってきた今、受験生の皆さんはいかがお過ごしですか?今回SSS Educationでは頑張る受験生を応援すべく、各科目の担当講師(なんと全員東大理3生!!!)が共通テストのポイントについて解説します!

・目次

センター試験と共通テストの違い

読解力とインストール能力の問われる共通テスト

 センター試験から共通テストになり主に変わったのは、「文章の読解力」「その場でのインストール能力」が重要視されるようになったことです。センター試験までは大問全体の目的が分かりやすく、問題文に従って解いていけばいつのまにか答えにありつける、という素直ものでした。

ところが一方共通テストでは、問題文の含意をよく解釈して与えられた考察や構想をどのように問題や解答に応用させていけるかというのが問われるようになりました。2022年の共通テスト数学 1A 第 1 問( 3 )のこちらの問題はものすごい難しくはなくも正答率があまり高くなかった問題です。この問題は顕著に「文章の読解力」と「その場でのインストール能力」を要求しています。

変化を象徴する1問

共通テスト数学 1A 第 1 問( 3 ) (2022年)

共通テスト数学1A第1問(3)
共通テスト数学1A第1問(3)
独立行政法人 大学入試センターより

誤答としてはしては、\(0\leqq\text{AB}\leqq7\)、\(0\leqq\text{AB}\leqq6\)などが多かったと思われますが、正解は\(4\leqq\text{AB}\leqq6\)です。正解された方もおそらくがむしゃらに解いてみてたどり着いた方が多かったのではないかと思います。ではどうしたら論理的に正解に辿り着けるのでしょうか?

考え方

まず状況を整理しましょう。問題文で与えられているのは、

  • \(\triangle{\text{ABC}}\)の外接円の半径が\(3\)
  • 点\(\text{A}\)から直線\(\text{BC}\)に引いた垂線と直線\(\text{BC}\)との交点が\(\text{D}\)
  • \(2\text{AB}+\text{AC}=14\)

の3つです。しかし明らかに2つ目の交点\(\text{D}\)の情報はいらないでしょう。問題に点\(\text{D}\)が出てこないからです。つまり\(2\text{AB}+\text{AC}=14\)以外に与えられた使える条件は、

  • \(\triangle{\text{ABC}}\)の外接円の半径が\(3\)

しかありません。
では外接円の半径と言われて何が思いつくでしょうか?

体系化の重要性

外接円の半径といって真っ先に考えるべきは正弦定理の利用です。SSSEducationでは幾何に関して、

このようにまとめています。このように円に関して何を理解すればいいのかマクロな視点で考えること(体系化)をしておくと外接円の半径が出た時にすっと正弦定理を連想することができます!実際にこのスライドの中で外接円の半径に触れられているのは正弦定理しかありませんよね?

解答

正弦定理より、

\[\frac{\text{BC}}{sin\text{A}} = \frac{\text{AC}}{sin\text{B}} = \frac{\text{AB}}{sin\text{C}} = 6\]

とわかります。よって、

\[\text{AB}=6sin\text{C}\]

とわかり、\(\text{AB}\geqq0\)と\(-1\leqq sin\text{C}\leqq1\)から\(0\leqq sin\text{C}\leqq1\)。したがって\(0\leqq\text{AB}\leqq6\)と求まります。あれ、何かおかしいですね?答えは\(4\leqq\text{AB}\leqq6\)です。何がいけないのでしょう?

今までやってきたことを振り返ると\(2\text{AB}+\text{AC}=14\)以外に与えられた使える条件が\(\triangle{\text{ABC}}\)の外接円の半径が3でしたのでそこから\(\text{AB}\)の条件を求めました。しかしこれでは\(2\text{AB}+\text{AC}=14\)を使っていませんね?ではこの式は何を表すのでしょう。

この式を変形すると、\[\text{AC}=14-2\text{AB}\]となります。つまり\(\text{AC}\)は\(\text{AB}\)による変数です。\(\text{AB}\)が条件を満たすとき\(\text{AC}\)も必ず問題の条件を満たすのでしょうか?検証してみましょう。

同様に\(2\text{AB}+\text{AC}=14\)以外に与えられた使える条件は

  • \(\triangle{\text{ABC}}\)の外接円の半径が3

しかありませんから先ほど同様、\[\text{AC}=6sin\text{B}\]となり、\(0\leqq\text{AC}\leqq6\)と求まりますね。つまり今回の問題では\(0\leqq\text{AC}\leqq6\)と\(0\leqq\text{AB}\leqq6\)が共に成立し、かつ\(2\text{AB}+\text{AC}=14\)を満たせば良いわけです。したがって、

\[2\text{AB}=14-\text{AC}\]から\(14-\text{AC}\geqq14-6=8\)ですので\(\text{AB}\geqq4\)と求まるのです。\(0\leqq\text{AB}\leqq6\)と合わせてきちんと正しい答え\(4\leqq\text{AB}\leqq6\)が出ました。

読解力、インストール能力とは

「文章の読解力」が求められているという点に関して、問題文の長くなった共通テストを見れば明らかでしょう。しかし、「その場でのインストール能力」は少し理解するのがむずかしかったかもしれません。実は先ほどの問題が色濃くインストール能力を問うています。短い文章ではありましたが何をすれば良いのか文章から理解できなかった受験生も少なくないでしょう。そのような中、きちんと論理立てて、「与えられた条件を整理」し、「条件から何をすればいいのか吟味」していくのがインストール能力です。先ほども述べましたがこれには体系化が必須となります。

  

強まるメッセージ性

話は一転しますが、問題のメッセージ性が色濃くなったのも共通テストの特徴の一つです。2022 の共通テストは、数学 Ⅰ 第2(2)データの分析の統計資料が大きな話題となりました。
 
 データの分析分野が受験生に求める能力はかなりわかりやすく「データを誤読せず正しく解釈できる」という能力にあります。ミスリーディングなデータに大衆が扇動されることは、現代社会の重要課題とも言え、「データの分析」の作問者が使命感を覚えざるをえない社会背景にあると思います。

 例えば、宝くじでよく「期待値」というのが代表値として用いられますが、多くの購買者はいわゆる「期待値」通りのリターンはもらえておらず、幸運な当選者に一極集中しているという現象が起こります。これは、「期待値」というのが宝くじのように偏りが大きい確率試行における代表値として妥当ではない、とも言えるわけです。

 現に、2022 年の共通テストは「相関係数という指標は、外れ値に対して頑健 (robust) な指標でない 」というのがテーマとして取り上げられました。

※ 頑健性がある (robust である) とは「ある統計的手法が、想定している状況と多少異なるデータにおいても、ほぼ妥当な結果を与える性質」のことです。

  • 全29個のデータだと、約0.626
  • 矢印の外れ値を除外した28個のデータだと、約0.84

これは、作問者から「外れ値の多いようなデータで相関係数を用いて分析する輩は統計への向き合い方がなってないよ」というメッセージになるかと思います。

考察することの重要性

数学における各項目において、教科書に書いてある以上に普段から自ら考察を深めているかというのが重視されていると思います。これは、センター試験であれば解答スピードを高める上で必要になる思考です。センター試験のころから、問題量こそ多いものの、数学的現象を俯瞰してみることで他の受験生よりもグッと少ない計算量で済ませることのできる問題が多く出題されてきました。共通テストは、そういった俯瞰的な考察をより直接的に問う問題が増えている傾向にありますね。

何を重視して勉強すればいいのか?

各解法に「なぜ?」「もっと簡単な方法はないか?」と考え続けることが大事です。数学は努力するのではなく、ラクすることを惜しまない姿勢でいきましょう。

 また、上記の通り問題文を正しく読み取り、自分で使いこなせるよう整理していく能力も必要です。問題を俯瞰的に整理するために、可能な限り図示してまとめる癖をつけると良いでしょう。

まだ間に合う!理3生のすすめる仕上げの1冊

こちらの本、「計算のエチュード」は共通テストだけではなく、2次試験においても役立つ計算の方向性を立てるための基本的な考え方がよく説明されていると思います。全てやりきる必要はないので、気になる部分をやるだけでも「計算を楽する」感覚や目線がきっと掴めるでしょう。

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