2027年の防衛医科大学校・医学教育部医学科の数学第7問は、座標平面上の格子点から点を選び、三角形や四角形の面積が整数になる確率を求める、確率・整数・格子点の融合問題です。本記事では、面積を座標の一次式に直す着眼から、整数性を偶奇で見分ける方法、数えにくい場合の数をどう整理するかまでを、医学部・難関大を目指す受験生と保護者に向けて、本解と別解をあわせて解説します。
- 平行な2直線上の格子点では、三角形の面積は水平座標の差または和の半分になり、図形の問題を一次式に直せます。
- 面積が整数かどうかは、面積の2倍の偶奇、すなわち2点の水平座標の偶奇が一致するかだけで判定できます。
- 四角形は対角線で二つの三角形に分け、上側2点の間隔を固定すると、整数性は残る二つの座標の和で決まります。
- 場合の数では、順序を付けるか、点の役割が同じか異なるかを最初に決め、標本空間を取り違えないようにします。
- 数えにくい場合の数は、変数を一つ固定する・偶奇を置き換えで消す・対称性で対応させる、と表現を変えると見通しがよくなります。
SSS Education は、医学部・難関大学を目指す受験生に向けて、東京大学理科三類の学生を中心とする講師陣が指導を行う予備校です。私たちは数学を「解法選択」――目の前の問題にどの解法を当てるかを、感覚ではなく手順として学ぶこと――として体系化してきました。本問の第7問も、まさにその解法選択を試す一題です。
防衛医大2027年数学第7問の構造はどう捉える?
まずは問題文を正確に確認します。座標平面上の格子点を扱う、確率・整数・格子点の融合問題です。
\( n \) を正の整数とする。座標平面上の点の集合
\[ A=\{(a,1)\mid a=1,2,\ldots,2n\},\quad B=\{(b,-1)\mid b=1,2,\ldots,2n\},\quad C=A\cup B \]
を考え、原点を \( \mathrm{O} \) とする。
(1)、(2) では、集合 \( C \) から異なる2点を選び、それらを \( \mathrm{P},\mathrm{Q} \) とする。ただし、どの2点の組も同じ確率で選ばれるものとする。三角形 \( \mathrm{OPQ} \) の面積を \( S \) とする。
(1) \( S=1 \) となる確率を求めよ。
(2) \( S \) が整数となる確率を求めよ。
(3) 今度は、集合 \( A \) から異なる2点を、集合 \( B \) から1点を選ぶ。ただし、どの選び方も同じ確率で選ばれるものとする。選んだ3点と原点 \( \mathrm{O} \) を頂点とする四角形の面積が \( n \) 以下の整数となる確率を求めよ。
格子点が y=1 と y=−1 の2直線に並ぶ配置
選べる点は、直線 \( y=1 \) 上の \( 2n \) 個(集合 \( A \))と、直線 \( y=-1 \) 上の \( 2n \) 個(集合 \( B \))で、合わせて \( 4n \) 個です。どの点も縦座標は \( +1 \) か \( -1 \) で、横座標だけが \( 1 \) から \( 2n \) まで動きます。この「平行な2直線上に並んだ格子点」という構造が、問題全体を貫く出発点になります。

三角形の面積は水平座標の「差」か「和」で決まる
原点 \( \mathrm{O} \) を1つの頂点とする三角形の面積には、座標から計算する公式が使えます。2点を \( \mathrm{P}=(x_1,y_1) \)、\( \mathrm{Q}=(x_2,y_2) \) とすると、
\[ 2S=|x_1y_2-x_2y_1| \]
です。本問では縦座標 \( y_1,y_2 \) が \( 1 \) か \( -1 \) に限られるので、場合に分けると次のように簡単になります。
\[ S=\begin{cases}\dfrac{|x_1-x_2|}{2}&(\text{同じ直線上の2点}),\\[6pt]\dfrac{x_1+x_2}{2}&(\text{異なる直線上の2点}).\end{cases} \]
直線 \( y=1 \) と \( y=-1 \) は原点から等しく離れており、三角形の高さにあたる部分が \( 1 \) で固定されるため、面積は水平座標の差や和の半分というきれいな形になります。この一次式への言い換えが、融合問題を解きほぐす最初の鍵です。
確率・整数・格子点の融合問題はどこから手をつける?
一見すると複雑な問題ですが、問われ方を見ると手順がはっきりします。本問は、同じ図形の設定に対して「面積の値を指定する」「面積が整数か」「整数かつ上限以下か」という異なるタイプの問いが並んでいます。ここで押さえておきたい着眼点は3つです。
- 面積を座標の一次式に直す。 平行な2直線上の格子点なので、三角形は差か和の半分、四角形は対角線で分けて一次式にまとめます。図形のまま考えず、座標の式に落とすのが出発点です。
- 整数かどうかは偶奇で判定する。 面積の分母は \( 2 \) なので、「整数になるか」は面積の2倍が偶数か、つまり関係する座標の偶奇だけで決まります。面積の値を最後まで計算する必要はありません。
- 数えにくい場合の数は、表現を変える。 変数を一つ固定する、偶奇を置き換えで消す、対称な対応を作る――この3方向で、同じ個数を数えやすい形に書き換えます。

この3つの着眼をもとに、(1)から順に解いていきます。(1)は面積の「値」を解く等式、(2)は面積の「性質」を見る偶奇、(3)は偶奇と不等式の両方を扱う数え上げ、という役割分担になっています。
【本解(1)】面積 S=1 となる確率の求め方
(1)は面積が特定の値になる確率なので、等式として素直に解きます。
- 2点が同じ水平線上にあるか、異なる水平線上にあるかで場合を分ける。
- \( S=1 \) を座標の差または和の条件に直し、組の数を数える。
- 全事象(2点の選び方)で割る。
同一直線上と異なる直線上で場合分けする解答
全事象は、\( 4n \) 個から異なる2点を選ぶ選び方なので
\[ {}_{4n}\mathrm{C}_{2}=2n(4n-1) \]
通りです。まず同じ直線上の2点を選ぶ場合、面積は \( S=\dfrac{|x_1-x_2|}{2} \) なので、\( S=1 \) は \( |x_1-x_2|=2 \) と同値です。横座標 \( 1,2,\ldots,2n \) で差が \( 2 \) になる組は \( \{1,3\},\{2,4\},\ldots,\{2n-2,2n\} \) の \( 2n-2 \) 通りで、直線が \( y=1 \) と \( y=-1 \) の2本あるので
\[ 2(2n-2)=4n-4 \]
通りです。次に異なる直線上の2点 \( (a,1),(b,-1) \) を選ぶ場合、面積は \( S=\dfrac{a+b}{2} \) で、\( a,b\geqq1 \) より \( S=1\iff a+b=2\iff a=b=1 \) となり、1通りだけです。したがって求める確率は
\[ \frac{(4n-4)+1}{{}_{4n}\mathrm{C}_{2}}=\frac{4n-3}{2n(4n-1)} \]
です。
試験場での検算:n=1 で値を確かめる
同一直線上では座標の差、異なる直線上では和を使う点を取り違えないことが大切です。また2点の選び方は順序を区別しないので、異なる直線上の \( (1,1),(1,-1) \) の組を二重に数えないよう注意します。小さな場合で確かめると、\( n=1 \) のとき条件を満たす組は \( (1,1) \) と \( (1,-1) \) の1組だけで、全6組中の確率は \( \dfrac{1}{6} \)。得られた式に \( n=1 \) を代入しても同じ値になり、符合します。
面積が整数になる確率は偶奇でどう判定する?
(2)では面積の「値」ではなく「整数かどうか」だけが問われています。ここで着眼②が効きます。面積を一つずつ計算する必要はなく、面積の2倍の偶奇を見るだけで判定できます。
水平座標の偶奇で2色に分ける本解
- 面積の2倍 \( 2S \) の偶奇から、整数になる必要十分条件を導く。
- 集合 \( C \) の点を、水平座標の偶奇で2つのグループに分ける。
- 同じグループから2点を選ぶ組の数を数える。
2点を \( (x_1,y_1),(x_2,y_2) \) とすると \( 2S=|x_1y_2-x_2y_1| \) であり、\( y_1,y_2 \) はどちらも奇数(\( 1 \) または \( -1 \))なので
\[ 2S\equiv x_1-x_2 \pmod 2 \]
が成り立ちます。よって
\[ S\in\mathbb{Z}\iff 2S\ \text{が偶数}\iff x_1\equiv x_2 \pmod 2 \]
となり、整数になる条件は「2点の水平座標の偶奇が一致すること」だけに集約されます。横座標 \( 1,\ldots,2n \) のうち奇数は \( n \) 個、偶数も \( n \) 個で、直線が2本あるので、集合 \( C \) には奇数座標の点が \( 2n \) 個、偶数座標の点も \( 2n \) 個あります。同じ偶奇から2点を選ぶ組は
\[ {}_{2n}\mathrm{C}_{2}+{}_{2n}\mathrm{C}_{2}=2n(2n-1) \]
通り。したがって求める確率は
\[ \frac{2\,{}_{2n}\mathrm{C}_{2}}{{}_{4n}\mathrm{C}_{2}}=\frac{2n-1}{4n-1} \]
です。上側・下側のどちらから選んでも偶奇の条件が同じになることを一言示しておくと、場合分けを省けます。
なぜ確率は 1/2 にならないのか
奇数座標と偶数座標の点が同数なら、感覚的には \( \dfrac{1}{2} \) になりそうですが、そうはなりません。異なる2点を選ぶ非復元抽出だからです。1点目を決めると、残る \( 4n-1 \) 個のうち同じ偶奇の点は \( 2n-1 \) 個しかありません。この見方からも確率が \( \dfrac{2n-1}{4n-1} \) になることが確かめられ、本解と一致します。
【参考】ピックの定理で整数性を見る(高校課程外)
背景を知りたい人向けの参考です。格子点を頂点とする多角形では、ピックの定理(高校の範囲外、大学で学ぶ内容)により、面積は内部と境界の格子点の個数から定まります。これを使うと、面積が整数になる条件は境界上の格子点数が偶数であることと同値になり、結局は水平座標の偶奇の一致に行き着きます。ただし、試験の答案では本解の偶奇判定で十分であり、ピックの定理を持ち出す必要はありません。
【本解(3)】四角形の面積が n 以下の整数になる確率の数え方
(3)は整数であることと \( n \) 以下であることの両方が課される、本問の山場です。ここでも、まず面積を一次式に直し、条件を座標だけの言葉に書き換えます。
対角線で四角形を2つの三角形に分ける
集合 \( A \) から選んだ2点を座標の小さい順に \( \mathrm{P}=(a,1),\ \mathrm{Q}=(c,1)\ (1\leqq a < c\leqq 2n) \)、集合 \( B \) から選んだ点を \( \mathrm{R}=(b,-1)\ (1\leqq b\leqq 2n) \) とします。4点 \( \mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q},\mathrm{R} \) はこの順に凸四角形をつくります。対角線 \( \mathrm{PR} \) で分けると、三角形 \( \mathrm{PQR} \) は底辺 \( c-a \)・高さ \( 2 \)、三角形 \( \mathrm{OPR} \) は面積 \( \dfrac{a+b}{2} \) なので、四角形の面積 \( T \) は
\[ T=(c-a)+\frac{a+b}{2}=\frac{2c-a+b}{2} \]
となります。ここで上側2点の間隔を \( d=c-a\ (\geqq1) \) とおくと、
\[ T=d+\frac{a+b}{2} \]
と、とても扱いやすい形にまとまります。

この式のうれしいところは、間隔 \( d \) を底辺にした三角形の面積が初めから整数 \( d \) になることです。そのため、\( T \) が整数かどうかを決めるのは \( \dfrac{a+b}{2} \) の部分だけで、\( c \) 自身の偶奇は関係しません。
条件を a, b, d だけの言葉に書き換える
いまの式から、四角形の面積が整数かどうか、\( n \) 以下かどうかは次のように言い換えられます。
\[ T\in\mathbb{Z}\iff a\equiv b \pmod 2,\qquad T\leqq n\iff a+b+2d\leqq 2n. \]
したがって、求める配置は
\[ a,b,d\geqq1,\qquad a\equiv b \pmod 2,\qquad a+b+2d\leqq 2n \]
を満たす正の整数の組 \( (a,b,d) \) と一対一に対応します。実はこの不等式から \( c=a+d\leqq 2n \) や \( a,b\leqq 2n \) が自動的に従うので、もとの「座標が \( 2n \) 以下」という制限を別に課す必要はありません。条件を先に整理しておくと、後の数え上げが軽くなります。
標本空間(全事象の数)を取り違えない
全事象の数え方には注意が必要です。集合 \( A \) から選ぶ2点は役割が同じなので、初めから \( a < c \) と順序を決めて \( {}_{2n}\mathrm{C}_{2} \) 通り、集合 \( B \) から選ぶ点は別に \( 2n \) 通りです。よって
\[ D={}_{2n}\mathrm{C}_{2}\cdot 2n=2n^2(2n-1) \]
通り。上側2点をさらに2倍したり、上下の点の組を二重に数えたりしないことが大切です。
間隔 d を固定して数える本解
- 間隔 \( d=c-a \) を一つ固定する。
- 残る条件を \( a+b=2k \) とおき、正の整数の組 \( (a,b) \) を数える。
- 奇数の和を平方数にまとめ、最後に \( d \) について足し合わせる。
条件から \( a+b\geqq2 \) なので \( 1\leqq d\leqq n-1 \) です。\( d \) を固定し \( m=n-d \) とおくと、残る条件は \( a,b\geqq1,\ a+b\leqq 2m,\ a+b\ \text{は偶数} \) になります。そこで \( a+b=2k\ (1\leqq k\leqq m) \) とすると、正の整数の順序付き組 \( (a,b) \) は
\[ (1,2k-1),(2,2k-2),\ldots,(2k-1,1) \]
の \( 2k-1 \) 通りです。これを \( k=1 \) から \( m \) まで足すと
\[ \sum_{k=1}^{m}(2k-1)=1+3+\cdots+(2m-1)=m^2 \]
と、奇数の和がきれいに平方数になります。

あとは \( d \) について足し合わせれば、条件を満たす配置の総数 \( N_n \) は
\[ N_n=\sum_{d=1}^{n-1}(n-d)^2=\sum_{m=1}^{n-1}m^2=\frac{n(n-1)(2n-1)}{6} \]
通りです。これを全事象で割って、
\[ \frac{N_n}{D}=\frac{\dfrac{n(n-1)(2n-1)}{6}}{2n^2(2n-1)}=\frac{n-1}{12n} \]
が求める確率です。
論述と検算のコツ
\( (a,b) \) は「上側の座標」と「下側の座標」という役割の異なる数なので、順序付きで数えます。一方、上側の2点は初めから \( a < c \) と決めているので、ここで2倍してはいけません。面積は \( T=d+\dfrac{a+b}{2}\geqq 2 \) なので、\( n=1 \) では条件を満たす配置がなく、確率は \( 0 \)。式に \( n=1 \) を入れても \( 0 \) で一致します。さらに \( n=2 \) では条件を満たす配置が \( (a,c,b)=(1,2,1) \) の1通りだけで、確率は \( \dfrac{1}{24} \)。公式 \( \dfrac{n-1}{12n} \) に \( n=2 \) を代入しても同じ値になり、安心して先へ進めます。
(3)の別解3つで数え方を変えると何が見える?
(3)の答え \( \dfrac{n-1}{12n} \) は、数え方を変えても同じ値にたどり着きます。別の数え方を知っておくと、本番で本解の見通しが立たないときの逃げ道になり、しかも答えが一致すれば強力な検算になります。ここでは発想の核が異なる別解を紹介します。
別解1:偶奇を分けて正の整数3個の和に直す
整数条件 \( a\equiv b \pmod 2 \) を正面から使い、\( a,b \) がともに奇数の場合と、ともに偶数の場合に分けます。ともに奇数なら \( a=2u-1,\ b=2v-1 \) とおくと \( T=d+u+v-1 \) となり、\( T\leqq n \) は \( u+v+d\leqq n+1 \) と同値です。ここで \( (u,v,d)\mapsto(x,y,z)=(u,\ u+v,\ u+v+d) \) と置くと \( 1\leqq x < y < z\leqq n+1 \) に一対一対応するので、この場合の数は \( {}_{n+1}\mathrm{C}_{3} \) 通り。ともに偶数なら \( a=2u,\ b=2v \) で \( u+v+d\leqq n \) となり、同じ対応で \( {}_{n}\mathrm{C}_{3} \) 通りです。合わせて
\[ N_n={}_{n+1}\mathrm{C}_{3}+{}_{n}\mathrm{C}_{3}=\frac{n(n-1)(2n-1)}{6} \]
となり、本解と一致します。奇数側は上限が \( n+1 \)、偶数側は \( n \) になる「\( 1 \) のずれ」に注意するのがポイントです。正の整数解の個数を組合せの数に読み替える練習として有効な解法です。
別解2:下側の点を反転させ、中点対称で半分ずつ数える
下側の点の横座標を \( r=2n+1-b \) と置き換えます。この置き換えは \( 1,\ldots,2n \) を入れ替えるだけの一対一対応です。すると面積は
\[ T=n+\frac{1}{2}+c-\frac{a+r}{2} \]
と書き直せて、\( T\in\mathbb{Z}\iff a,r\ \text{の偶奇が異なる} \)、その条件のもとで \( T\leqq n\iff c < \dfrac{a+r}{2} \) となります。つまり求める配置は、\( 1\leqq a < c < r\leqq 2n \) を満たす3整数のうち、両端 \( a,r \) の偶奇が異なり、中央の \( c \) が \( a \) と \( r \) の中点より左にあるものと対応します。
数え方は2段階です。まず \( a < c < r \) の組は \( {}_{2n}\mathrm{C}_{3} \) 通り。中央の \( c \) を固定すると、左側の候補数と右側の候補数の和が奇数 \( 2n-1 \) になるので、両端の偶奇が異なる組はちょうど半分です。次に、両端の偶奇が異なるとき中点 \( \dfrac{a+r}{2} \) は整数になりません。そこで \( c\mapsto a+r-c \) という中点に関する対応を考えると、中点より左の \( c \) と右の \( c \) がもれなく対になり、動かない点も生じないので、条件を満たすものはさらに半分です。よって
\[ N_n=\frac{1}{4}\,{}_{2n}\mathrm{C}_{3}=\frac{n(n-1)(2n-1)}{6} \]
となり、やはり同じ答えです。「半分」と言うときは、根拠(偶奇が半々になること、中点反転に固定点がないこと)を必ず添えるのが論述のコツです。
参考解:2回の反転、正の整数4個への変換
さらに視点を変えた参考解も、同じ \( \dfrac14\,{}_{2n}\mathrm{C}_{3} \) に到達します。1つは、上側の点と下側の点の両方を反転させ、面積条件を「増加する3整数の偶奇の並び」に変換したうえで、区間の反転対称性で数える方法です。もう1つは、面積の上限までの余裕 \( n-T \) を新しい変数にして、和が \( 2n+1 \) の正の整数4個の組に対応させ、和が奇数ゆえに少数派の偶奇が1個だけ現れることの対称性から \( \dfrac14 \) を導く方法です。いずれも高度ですが、「条件を対称性のある対象へ移して数える」という発想を学べます。試験場では本解や別解1を選び、これらは理解を深める参考として押さえておくとよいでしょう。
5つの解法を比較すると試験場では何を選ぶ?
(3)を解く5通りの数え方を、試験場での使いやすさで比べてみます。評価は本問に対する相対的な目安であり、絶対的な順位ではありません。
| 比較項目 | 本解 (間隔を固定) |
別解1 (偶奇分離) |
別解2 (中点反転) |
参考解 (2回反転) |
参考解 (正整数4個) |
|---|---|---|---|---|---|
| 発想の自然さ | 高い | 中 | 中 | 低い | 低い |
| 計算量 | 中 | 少ない | 少ない | 少ない | 少ない |
| 論証量 | 少ない | 中 | 中 | 多い | 中 |
| ミスの少なさ | 高い | 高い | 中 | 中 | 中 |
| 本番での再現性 | 高い | 高い | 中 | 低い | 中 |
試験場で第一に選びたいのは本解です。面積を間隔 \( d \) で分けるところから答えまでが一本道で、分岐も総和も短く、ミスが起きにくいためです。計算をさらに短くしたいなら別解1の偶奇分離が有効で、正の整数解を組合せの数に直す力が問われます。別解2以降は、反転や対称性という道具の使い方を学ぶ価値はありますが、論証を丁寧に書く必要があり、本番向きとは言えません。
本問から持ち帰る解法選択の原理
冒頭で挙げた学習事項を振り返ります。まず面積を座標の一次式に直すことで、図形の問題が代数の問題になりました(着眼①)。次に整数かどうかを偶奇で判定することで、面積の値を求めずに条件を絞れました(着眼②)。四角形では対角線で分け、間隔を固定することで、整数性が \( a+b \) だけに依存することが見えました。数え上げでは標本空間を最初に確定し、そのうえで変数を固定する・偶奇を消す・対称性を使うと表現を変えて、同じ個数を何通りにも数えられました。異なる数え方が同じ答えに一致したことが、そのまま検算になっています。大切なのは解法を多く暗記することではなく、問題の条件からどの数え方を選ぶかを自分で判断できることです。
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融合問題の解法選択を得点力に変えるには?
確率・整数・格子点のような融合問題が解けないとき、原因は知識不足とは限りません。多くの場合、必要な知識は教科書の範囲に収まっています。差がつくのは、目の前の問題にどの解法を当てるか――「面積を一次式に直す」「整数性は偶奇で見る」「数えにくければ表現を変える」といった判断を、確かな根拠をもって選べるかどうかです。この判断を、ふだんの演習から言語化しておくことが得点の安定につながります。
受験生本人が確認すること
まずは、本問で使った三つの道具――座標による面積公式、偶奇(\( \pmod 2 \))での判定、正の整数解の数え上げ――を、それぞれ単独で素早く扱えるかを確かめてください。融合問題でつまずくときは、融合そのものより、どれか一つの基礎が抜けていることが少なくありません。過去問を解いたあとに「どの着眼から入り、どこで方針を切り替えたか」を一行で書き残しておくと、解法選択が型として身についていきます。
保護者が確認すること
保護者の方は、点数の上下だけでなく、本人が解けなかった問題について「何が分からなかったか」を言葉にできているかに目を向けると、学習の実態がつかみやすくなります。原因が知識なのか、解法選択なのか、時間配分なのかで、次に取るべき対策は変わります。SSS Education からも、これまで防衛医科大学校医学教育部医学科を含む国立医学部への合格者が出ています(いずれも過去の個別の実績であり、同じ結果を保証するものではありません)。学習の現在地を整理したいときの相談先の一つとしてご検討ください。
解法選択でつまずく原因を、一緒に整理しませんか
融合問題が解けない原因は、知識不足とは限りません。どの解法をいつ選ぶか――その判断を、現在の学習状況や志望校に合わせて整理するところから始められます。オンラインでも対応しており、成績や学習計画がまだ整理できていなくても構いません。医学部・難関大対策の学習計画や、科目別の課題について、まずはお気軽にご相談ください。
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Q&A
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防衛医大の数学では確率・整数・格子点の融合問題がよく出ますか?
出題分野や傾向は年度によって変わるため、断定はできません。最新の過去問で実際の傾向を確認してください。ただし、本問のように複数分野を融合した問題では、分野ごとの細かな知識よりも、「面積を座標の一次式に直す」「整数性を偶奇で判定する」「数えにくければ表現を変える」といった分野をまたぐ着眼が役立ちます。
(1)で (1,1) と (1,−1) の組を2回数えてしまいます。なぜ1通りですか?
2点の選び方は順序を区別しないためです。\( \{(1,1),(1,-1)\} \) と \( \{(1,-1),(1,1)\} \) は同じ1つの組として数えます。異なる直線上の点を選ぶ場合に二重に数えやすいので、組として1回だけ数えるよう意識してください。
(3)で上側2点は a<c と決めたのに、a と b は順序を区別するのはなぜですか?
点の役割が違うからです。上側の2点はどちらも集合 \( A \) から選ぶ同じ役割の点なので、\( a < c \) と順序を固定して数えます。一方 \( a \) は上側、\( b \) は下側の点の座標で役割が異なるため、\( (a,b) \) と \( (b,a) \) は別の選び方として順序付きで数えます。全事象の数え方も、この役割の違いに合わせて決めます。
ピックの定理や母関数などは答案に書いてよいですか?
これらは高校の範囲外(大学で学ぶ内容)です。理解を深める参考にはなりますが、答案はできるだけ高校範囲の道具――座標による面積公式、偶奇の判定、奇数和や組合せの数――で書くのが安全です。採点で前提の説明を省いたとみなされる余地を残さないためにも、本解の筋で記述することをおすすめします。
このタイプの融合問題は何から練習すればよいですか?
いきなり融合問題に挑むより、土台となる三つを個別に固めるのが近道です。座標から三角形の面積を求める公式、\( \pmod 2 \) での偶奇判定、正の整数解の個数を組合せの数で数える扱いです。これらを別々に素早くこなせるようになってから融合問題に取り組むと、どこで何を使うかが見えやすくなります。
参考文献
参考文献を表示する
- 防衛省「防衛医科大学校」(自衛官募集 教育機関紹介ページ)(参照日:2026年10月26日)
- 防衛省「防衛医科大学校」公式サイト(参照日:2026年10月26日)

