2027年の防衛医科大学校・医学科の数学第4問は、分数の形をした漸化式で定められた数列について、最大となる項の番号とその値を求める問題です。この記事では、一般項を求めずに逆数の階差から最大項を見抜く本解を中心に、元の数列の増減を直接調べる方法や一般項を使う方法まで、合わせて6通りの解き方を、医学部・難関大を目指す受験生と保護者に向けて、試験場でそのまま再現できる形で解説します。
- 数列の最大・最小は、一般項を求めなくても、隣り合う項の増減(階差の符号)だけで決められることがある。
- 分数の形をした漸化式は、両辺の逆数をとると、階差が一次式になる加法型の漸化式に変わることがある。
- 分数漸化式では、初項が正でも以降の項の正値性は自動では保証されない。正の補助数列を先につくるなどして確かめる。
- 階差が一次式なら一般項は二次式になる。頂点が整数でないときは、頂点そのものではなく最も近い自然数を選ぶ。
- 最大・最小を主張するときは、局所的な増減だけでなく、全体でただ一つであること(等号成立条件)まで示す。
SSS Educationは、東京大学理科三類の学生を中心とした講師陣が、医学部・難関大学の受験指導を行う予備校です。防衛医科大学校をはじめとする医学部医学科への合格者を支えてきた経験から、本記事では、分数漸化式の最大項を一般項に頼らず見抜く「解法の選び方」そのものに重点を置いて解説します。
2027年 防衛医科大学校・数学第4問の問題文と構造の整理
まずは問題文を正確に確認します。数列 \(\{a_n\}\) を次で定めます。
\[ a_1=\dfrac{1}{30},\qquad a_{n+1}=\dfrac{a_n}{(4n-17)a_n+1}\quad(n=1,2,3,\ldots) \]
このとき、\(a_n\) が最大となる項を第 \(k\) 項とするとき、\(k\) および \(a_k\) の値を求めよ、という問題です。
分数を含む漸化式を見ると、つい一般項 \(a_n\) を求めたくなります。しかし、本問が要求しているのは一般項そのものではなく、最大となる項の位置 \(k\) と、その値 \(a_k\) です。そこで最初に立てるべき問いは、「一般項を求められるか」ではなく、「隣り合う二項の大小だけで、最大となる項を決められないか」です。もしある自然数 \(k\) について、第 \(k\) 項まで増え続け、その後は減り続けることが示せれば、一般項を求めなくても第 \(k\) 項が最大だと分かります。
漸化式の分母と 1 を比べると増減が見える
与えられた漸化式は、分母を整理すると次の形です。
\[ a_{n+1}=\dfrac{a_n}{1+(4n-17)a_n} \]
もし \(a_n\) が正で分母も正なら、分母が 1 より小さいとき項は増え、1 より大きいとき項は減ります。その鍵を握るのが係数 \(4n-17\) です。これを \(c_n=4n-17\) とおくと、
\[ c_n=-13,\ -9,\ -5,\ -1,\ 3,\ 7,\ 11,\ \ldots \]
と変化し、\(1\leqq n\leqq 4\) では負、\(n\geqq 5\) では正になります。符号が負から正へ切り替わるのは、第4項から第5項への更新のあたりだと見当がつきます。
逆数をとると非線形の形が消えて加法型になる
もう一つの見方が、逆数です。\(a_n\) と \(a_{n+1}\) が 0 でない範囲で両辺の逆数をとると、
\[ \dfrac{1}{a_{n+1}}=\dfrac{1}{a_n}+4n-17 \]
となります。そこで \(b_n=\dfrac{1}{a_n}\) とおけば、
\[ b_{n+1}-b_n=4n-17 \]
という、変化量が \(n\) だけで決まる加法型の漸化式が現れます。分数の形が消え、各ステップでいくつ増減するかが前の項の値によらず分かるようになりました。すべての項が正だと分かれば、\(a_n=\dfrac{1}{b_n}\) なので、\(a_n\) を最大にすることは\(b_n\) を最小にすることと同じになります。
ここで一つ注意があります。\(a_1>0\) だからといって、以降の \(a_n\) が自動的に正になるとは限りません。\(c_n=4n-17\) が負の間は、分母 \(1+(4n-17)a_n\) が 0 以下になる可能性もあるからです。正値性と漸化式が定義できることを確認してから、大小を比較する——この順序が本問の厳密さを支えます。
数列の最大項はどこから手をつければよい?
構造が見えたので、方針を一枚の図に整理します。出発点は「一般項を求めずに増減を判定できないか」です。そこから、元の漸化式の分母を 1 と比べる道と、逆数をとって階差を加法型にする道に分かれ、逆数の道はさらに「何を証明するか」で枝分かれします。

試験場での優先順位はシンプルです。逆数をとって \(b_{n+1}-b_n=4n-17\) を得たら、すぐ一般項を計算するのではなく、まず階差の符号を調べます。本問はこの段階で最大項が決まるため、逆数の階差による方法を本解とします。一方、初めの数項が簡単に計算できる本問では、元の数列を直接比べる方法も実用的です。任意の項の値や極限まで必要なら一般項を求める価値が高まり、最大項の候補が先に分かっているなら、その候補と他の項を直接比較する方針も選べます。
【本解】逆数の階差で最大項を決定する手順
本解の核心は、元の漸化式を無理に解かず、逆数の数列の増減を調べることです。最大項の位置も正値性も、階差の符号と第5項の値から同時に決まります。
本解の流れ ― 逆数の補助数列をつくる
- 逆数に対応する補助数列 \(\{b_n\}\) を、加法型の漸化式で独立に定める。
- 階差 \(b_{n+1}-b_n\) の符号から、\(b_n\) が第5項で唯一の最小になることを示す。
- \(b_5\) を計算し、すべての \(b_n\) が正であることを確かめる。
- \(a_n=\dfrac{1}{b_n}\) が元の数列に一致することを確認し、最大値を決める。
模範解答 ― 階差の符号と第5項から最大項を決める
補助数列 \(\{b_n\}\) を次で定めます。
\[ b_1=30,\qquad b_{n+1}=b_n+4n-17 \]
このとき \(b_{n+1}-b_n=4n-17\) ですから、
\[ \begin{cases} b_{n+1}<b_n & (1\leqq n\leqq 4),\\ b_{n+1}>b_n & (n\geqq 5) \end{cases} \]
となり、
\[ b_1>b_2>b_3>b_4>b_5<b_6<b_7<\cdots \]
が成り立ちます。したがって \(b_n\) は \(n=5\) でただ一つの最小値をとります。その値は、
\[ b_5=30+\sum_{j=1}^{4}(4j-17)=30-13-9-5-1=2 \]
です。よって、すべての自然数 \(n\) について \(b_n\geqq 2>0\) が成り立ち、等号が成り立つのは \(n=5\) のときに限ります。
ここで \(\widetilde a_n=\dfrac{1}{b_n}\) とおくと、\(\widetilde a_1=\dfrac{1}{30}\) であり、
\[ \widetilde a_{n+1}=\dfrac{1}{b_n+4n-17}=\dfrac{\widetilde a_n}{1+(4n-17)\widetilde a_n} \]
が成り立ちます。さらに \(1+(4n-17)\widetilde a_n=\dfrac{b_{n+1}}{b_n}>0\) ですから、\(\{\widetilde a_n\}\) は元の初期条件と漸化式をすべて満たし、\(a_n=\widetilde a_n=\dfrac{1}{b_n}\) となります。これで、逆数をとる操作が全項で正当であることまで確認できました。したがって、
\[ a_n=\dfrac{1}{b_n}\leqq\dfrac12 \]
であり、等号が成り立つのは \(n=5\) のときだけです。以上より、
\[ k=5,\qquad a_k=\dfrac12 \]
が答えです。

論述のコツと試験場での検算ポイント
この解法では、一般項を求める必要がありません。階差の符号だけで最大項の位置が確定するからです。計算面では、\(b_1\) から \(b_5\) までの更新が4回であることに注意し、\(\displaystyle\sum_{j=1}^{4}\) の上端を間違えないようにします。4個の負の増分は等差数列なので、
\[ -13-9-5-1=4\cdot\dfrac{-13-1}{2}=-28 \]
とまとめて計算できます。検算は、階差の符号が切り替わる位置を確かめるのが速いです。\(b_5-b_4=4\cdot4-17=-1\)、\(b_6-b_5=4\cdot5-17=3\) なので、ちょうど第5項が谷になります。さらに \(b_4=3,\ b_5=2,\ b_6=5\) から \(a_4=\dfrac13,\ a_5=\dfrac12,\ a_6=\dfrac15\) となり、増減の向きと矛盾しないことも確認できます。
分数漸化式の最大項で見落としやすい3つの注意点
① 正値性と定義可能性:初項が正でも、分数漸化式では以降の分母が正とは限りません。本解のように正の補助数列 \(\{b_n\}\) を独立につくるか、初めの数項を実際に計算して、循環論法を避けてから逆数の大小を比べます。
② 局所的な増減と大域的な最大の区別:\(a_5>a_6\) を示すだけでは、第5項が最大である証明になりません。第5項まで増え、その後はすべての項で減り続けることまで示します。
③ 整数条件:一般項を使う場合、二次関数の頂点 \(\dfrac{19}{4}\) をそのまま答えてはいけません。添字は自然数なので、頂点に最も近い自然数を選びます(この点は別解2で詳しく扱います)。
【別解1】元の数列の隣接項を直接比べるとどうなる?
補助数列を導入せず、漸化式の分母と 1 の大小だけで増減を調べる方法です。初めの5項を計算すれば、正値性と単調減少を同時に示せます。
- 初めの5項を漸化式から順に計算する。
- その5項が正で、狭義に増加していることを確認する。
- \(n\geqq 5\) では分母が 1 より大きいことから、以降の減少を帰納法で示す。
漸化式から順に計算すると、
\[ a_1=\dfrac{1}{30},\quad a_2=\dfrac{1}{30-13}=\dfrac{1}{17},\quad a_3=\dfrac{1}{17-9}=\dfrac18,\quad a_4=\dfrac{1}{8-5}=\dfrac13,\quad a_5=\dfrac{1}{3-1}=\dfrac12 \]
となり、\(0<a_1<a_2<a_3<a_4<a_5\) です。一方 \(n\geqq 5\) では \(4n-17>0\) ですから、\(a_n>0\) ならば \(1+(4n-17)a_n>1\) となり、
\[ 0<a_{n+1}=\dfrac{a_n}{1+(4n-17)a_n}<a_n \]
が成り立ちます。\(a_5=\dfrac12>0\) を起点に数学的帰納法を用いると、すべての \(n\geqq 5\) で \(0<a_{n+1}<a_n\) です。したがって、
\[ a_1<a_2<a_3<a_4<a_5>a_6>a_7>\cdots>0 \]
となり、第5項が唯一の最大項です。ゆえに \(k=5,\ a_k=\dfrac12\) が答えです。この解法は、初めの有限個を計算することで、係数が負の部分の分母の正値性も同時に確認できる点が利点です。本解との違いは、補助数列を立てずに元の漸化式だけで完結させるところにあり、特に初等的な答案を目指すときに向いています。
【別解2】逆数の一般項と平方完成でどう最小化する?
逆数で線形化した漸化式を最後まで解き、正の二次式の「整数上での最小化」に帰着させる方法です。本解が階差の符号だけを使うのに対し、この方法は数列全体を明示できます。
- 逆数に対応する補助数列を導入する。
- 階差を加えて二次式の一般項を求める。
- 平方完成して頂点の位置を求める。
- 自然数のうち、頂点に最も近い添字を選ぶ。
補助数列を \(b_1=30,\ b_{n+1}=b_n+4n-17\) と定め、階差を加えると、
\[ b_n=30+\sum_{j=1}^{n-1}(4j-17)=30+2n(n-1)-17(n-1)=2n^2-19n+47 \]
となります。したがって一般項は \(a_n=\dfrac{1}{2n^2-19n+47}\) です。平方完成すると、
\[ b_n=2\left(n-\dfrac{19}{4}\right)^2+\dfrac{15}{8} \]
なので \(b_n>0\) です。連続変数で見た頂点は \(n=\dfrac{19}{4}=4.75\) ですが、添字 \(n\) は自然数なので、頂点そのものは答えになりません。\(4.75\) に最も近い自然数は 5 ただ一つで、\(n=4\) との距離が \(0.75\)、\(n=5\) との距離が \(0.25\) です。よって \(b_n\) は \(n=5\) で最小となり、\(b_5=2\)、したがって \(a_5=\dfrac12\) です。

平方完成の代わりに、整数の離散性を直接使う書き方も明快です。
\[ b_n-2=2n^2-19n+45=(n-5)(2n-9)=\dfrac{(2n-10)(2n-9)}{2} \]
ここで \(2n-10\) と \(2n-9\) は連続する2整数で、その積は負になりません。よって \(b_n\geqq 2\) が直ちに従い、等号は \(2n-10=0\)、すなわち \(n=5\) のときに限ります。この方法では、二次関数の頂点が整数でないときに「実数の最適値をそのまま答えない」という整数条件の扱いが、そのまま答案に書けます。一般項が手に入るため、任意の項の値や極限まで調べたいときにも役立ちます。
【別解3】負の増分の合計から上界は作れる?
最大項の位置を先に決めるのではなく、すべての項に共通する鋭い上界を直接つくる方法です。逆数の更新に現れる負の増分の合計を評価し、「負の増分をすべて取り込み、正の増分をまだ取り込んでいない状態」が最良であることを示します。
\(c_j=4j-17\) とおくと、負になるのは \(c_1=-13,\ c_2=-9,\ c_3=-5,\ c_4=-1\) の4個だけです。したがって、任意の \(m\geqq 0\) について、
\[ \sum_{j=1}^{m}c_j\geqq -(13+9+5+1)=-28 \]
が成り立ち、等号は 4個の負の増分をすべて加え、正の増分をまだ加えていない \(m=4\) のときに限ります。よって、
\[ b_{m+1}=30+\sum_{j=1}^{m}c_j\geqq 30-28=2 \]
であり、等号は \(m=4\)、すなわち第5項のときだけです。ゆえに \(a_{m+1}=\dfrac{1}{b_{m+1}}\leqq\dfrac12\) となり、\(k=5,\ a_k=\dfrac12\) が答えです。局所的な増減判定でも一般項の導出でもなく、最適値の上界を先につくる証明である点が特徴で、符号が入り混じった増分にも応用できます。添字 \(m\) は更新の回数を表すので、項の番号は \(m+1\) になることに注意します。
【別解4】任意の二項を直接比較するには?
一般項全体を求めるのではなく、任意の二項の逆数の差を直接計算する方法です。最大項の候補を第5項と見定め、他のすべての項との差が非負であることを示します。逆数の階差を、二つの添字の間だけ足し合わせるのがポイントです。
\(m<n\) のとき、
\[ b_n-b_m=\sum_{j=m}^{n-1}(4j-17)=(n-m)\{2(n+m)-19\} \]
が成り立ちます(\(m>n\) のときも両辺の符号を反転すれば同じ式になります)。\(b_5=2\) を使い、\(m=5\) とすると、
\[ b_n-b_5=(n-5)(2n-9) \]
となります。自然数 \(n\) では、\(1\leqq n\leqq 4\) のとき二つの因子がともに負で積は正、\(n=5\) のとき 0、\(n\geqq 6\) のとき二つの因子がともに正で積は正です。よって \(b_n\geqq b_5=2\) であり、等号は \(n=5\) に限ります。したがって \(k=5,\ a_k=\dfrac12\) が答えです。この式からは、最大項だけでなく任意の二項の大小も分かります。\(m<n\) のとき、\(m+n\leqq 9\) なら \(a_n>a_m\)、\(m+n\geqq 10\) なら \(a_n<a_m\) となり、二項の大小が添字の和だけで決まります。
【参考解】相加・相乗平均と整数条件でも解ける?
逆数の一般項を展開された二次式として扱うのではなく、初期値からの減少量を「二つの一次式の積」として捉える方法です。その二因子の和が一定であることに気づくと、相加・相乗平均と整数条件で最大値を決められます。
\(b_n=30-\displaystyle\sum_{j=1}^{n-1}(17-4j)\) と書き、減少量を \(S(n)=(n-1)(17-2n)\) と因数分解したまま扱います。すると \(b_n=30-S(n)\) です。\(n\geqq 9\) では \(S(n)<0\)、一方 \(S(5)=4\cdot7=28>0\) なので、\(S(n)\) の最大を調べるには \(1\leqq n\leqq 8\) を考えれば十分です。この範囲で \(X=2(n-1),\ Y=17-2n\) とおくと、\(X\geqq 0,\ Y>0\) で、
\[ X+Y=15,\qquad XY=2S(n) \]
が成り立ちます。相加・相乗平均の不等式から \(XY\leqq\left(\dfrac{15}{2}\right)^2=\dfrac{225}{4}=56.25\) ですが、\(X\) は偶数、\(Y\) は整数なので \(XY\) は偶数です。したがって \(XY\leqq 56\)、すなわち \(S(n)\leqq 28\) となります。等号には \(X+Y=15,\ XY=56\) が必要で、これを満たす非負整数は \((X,Y)=(7,8),(8,7)\) です。\(X\) は偶数なので \((X,Y)=(8,7)\) に限られ、\(2(n-1)=8\) より \(n=5\) です。ゆえに \(S(n)\leqq 28\)、等号は \(n=5\) のときだけなので、\(b_n=30-S(n)\geqq 2\) となり、\(k=5,\ a_k=\dfrac12\) が答えです。手順は多めですが、二次関数の頂点を使わず、長方形の面積最大化という発想で解ける点に学習価値があります。\(n\geqq 9\) では \(Y<0\) となり相加・相乗平均をそのまま使えないこと、実数上の等号条件 \(X=Y=\dfrac{15}{2}\) が整数では実現しないことの二点を落とさないようにします。
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6つの解法の比較と、本問から得る学習のポイント
本解と5つの別解・参考解、合わせて6通りの解き方を見てきました。発想の核と、どんな場面で有効かを一覧にします。
| 解法 | 発想の核 | 一般項 | 特徴・向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 本解:逆数の階差 | 階差 \(4n-17\) の符号で最小項を決める | 不要 | 計算量が少なく、正値性も同時に示せる。試験場で最も実用的 |
| 別解1:元の数列の直接比較 | 分母と 1 の大小+帰納法 | 不要 | 初めの数項が簡単なときに有効。最も初等的 |
| 別解2:平方完成 | 一般項を求め、整数上で最小化 | 必要 | 任意の項の値や極限まで欲しいとき。整数条件の練習に好適 |
| 別解3:負の増分の総量 | 共通する鋭い上界を先につくる | 不要 | 最適値の上界評価の発想。符号混在の増分にも応用可 |
| 別解4:二項比較 | 任意の二項の差を因数分解 | 不要 | 任意の二項の大小まで分かる。候補が先に見えているとき |
| 参考解:相加・相乗平均 | 定数和の二数の積の最大化 | 必要 | 不等式と整数の偶奇を組み合わせる練習に |
最後に、冒頭で挙げた「本問から学べること」に戻って締めます。第一に、数列の最大・最小は一般項を求めずに、隣り合う項の増減(階差の符号)だけで決められることがあるという点です。本問はまさにその典型で、一般項に手を出す前に増減を見るだけで最大項が決まりました。第二に、分数の形をした漸化式は、逆数をとると階差が一次式になる加法型に変わること。\(a_{n+1}=\dfrac{a_n}{1+c_na_n}\) という形を見たら、逆数による線形化を試す価値があります。
第三に、分数漸化式では、初項が正でも以降の項の正値性は自動では保証されないこと。正の補助数列を先につくるか、初めの数項を計算して定義可能性を確かめてから、逆数の大小を比べます。第四に、階差が一次式なら一般項は二次式になり、頂点が整数でないときは最も近い自然数を選ぶこと。頂点 \(4.75\) をそのまま答えてはいけない、という整数条件は入試で狙われやすい論点です。第五に、最大・最小の主張では、局所的な増減だけでなく、全体でただ一つであること(等号成立条件)まで示すこと。上界や下界を示したら、それがいつ達成されるかまで必ず確認します。複雑に見える漸化式でも、求める対象に必要な情報を見極め、適切な変数変換と比較の方法を選べば、見通しのよい答案に到達できます。
数学の「解法の選び方」を、東大理三の講師と一緒に見直しませんか
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逆数をとる解法と、元の数列のまま解く解法はどちらがよい?
一般に、逆数の階差で解く本解のほうが計算量が少なく、正値性も同時に示せるため試験場では有力です。ただし、本問のように初めの数項がすぐ計算できる場合は、元の数列を直接比べる別解1も実用的です。任意の項の値や極限まで必要なら、一般項を求める別解2の価値が高まります。問題が何を要求しているかで選ぶのがおすすめです。
一般項の頂点は \(\dfrac{19}{4}=4.75\)。なぜ答えが第4項ではなく第5項になる?
添字は自然数なので、放物線上の整数点だけを拾います。頂点 \(4.75\) との距離は、第4項が \(0.75\)、第5項が \(0.25\) で、第5項のほうが近いからです。整数の離散性を使う書き方では、\(b_n-2=(n-5)(2n-9)\) が連続する2整数の積の形になり、\(n=5\) で 0、他の自然数では正になることからも確認できます。
分数漸化式で逆数をとるとき、気をつけることは?
逆数をとる前に、すべての項が 0 でなく、かつ大小比較に使うなら正であることを確認します。初項が正でも、係数が負の区間では分母が 0 以下になる可能性があるため、正値性は自動では保証されません。本解のように正の補助数列を独立につくると、循環論法を避けて安全に議論できます。
分数漸化式の最大項は、医学部や難関大の入試でよく出る?
分数型の漸化式と、数列の最大・最小を結びつけるテーマは、医学部・難関大で繰り返し問われます。一般項を解きにいく前に、逆数による線形化や階差の符号で増減を判断できるか、正値性や整数条件を丁寧に処理できるかが差になります。本記事の2027年 防衛医科大学校・第4問は、その判断力を試す good example です。なお、出題年度の表記や入試制度の詳細は、受験の際に必ず公式情報で確認してください。
参考文献
参考文献を表示する
- 防衛省 自衛官募集「防衛医科大学校医学科学生」(参照日:2026年10月25日)

