2027年の防衛医科大学校・医学教育部医学科の数学第1問は、3つの正の整数の逆数の和が \(\dfrac13\) になる組を調べる、単位分数(逆数の和)の不定方程式です。この記事では、順序条件で最小の分母の候補を絞る本解を中心に、実数解と整数解をどう区別するか、整数解の個数を約数でどう数えるかを、医学部・難関大を目指す受験生と保護者に向けて、試験場で再現できる形で解説します。

本問から学べること

  • 逆数の和の問題では、まず大小関係(順序条件)を使って、最小の分母がとり得る値を有限個に絞り込む。
  • 実数として方程式を満たす組があっても整数解とは限らない。整数性・整除性を最後に必ず確認する。
  • 「最大値」を求めるときは、大きい候補から順に不存在を示し、実現する値を一つ構成する。排除と構成の両方がいる。
  • 整数解の個数は、積が一定になる形に変形し、約数の対と一対一に対応づけて数えると、漏れも重複もない。

SSS Education は、東京大学理科三類の学生を中心とした講師陣が、医学部・難関大学の受験を指導する予備校です。防衛医科大学校をはじめとする国公立医学部への合格者を送り出してきた指導経験から、整数問題のように「どの方針で手をつけるか」で差がつく分野では、解法選択の型を言語化して伝えることを大切にしています。


2027年 防衛医科大学校・数学第1問は何を問う問題?

まずは問題文を確認します。防衛医科大学校の数学はマーク式の解答欄をもつ形式で、第1問は次の二段構えになっています。

問題(2027年 防衛医科大学校・医学教育部医学科 数学 第1問)

\(a,\ b,\ c\) を正の整数とする。

\[ a < b,\qquad \frac1a+\frac1b=\frac13 \]

を満たす組 \((a,\ b)\) はただ1組存在し、そのときの積 \(ab\) は \(\boxed{1}\) である。また、

\[ a < b < c,\qquad \frac1a+\frac1b+\frac1c=\frac13 \]

を満たす組 \((a,\ b,\ c)\) を考える。\(a\) が最大値をとるとき、そのような組 \((a,\ b,\ c)\) は全部で \(\boxed{2}\) 組ある。

(\(\boxed{1}\)、\(\boxed{2}\) は解答欄の番号です。)

単位分数の不定方程式という構造をつかむ

二つの設問に共通するのは、正の整数の逆数の和を \(\dfrac13\) に固定するという条件です。逆数(単位分数)の和を一定にする整数の組を求める問題は、一般に「不定方程式」と呼ばれ、方程式の個数より未知数の方が多いため、整数であるという条件が解を有限個に決める鍵になります。

後半で問われているのは、三つ組の総数ではなく、最小の分母 \(a\) を最大にしたときの組数です。したがって、最初からすべての解を書き出す必要はありません。やるべきことは次の三つに分かれます。

  • 順序条件から、最小の分母 \(a\) の候補を有限個にする。
  • 大きい候補 \(a=8,\ 7\) について、整数解が存在しないことを示す。
  • \(a=6\) が実現することを示し、そのときの解をすべて数える。

順序条件が最小の分母 a の範囲を決める

前半は \(a < b\) なので、同じ \(\dfrac13\) を二つの逆数で分け合うと、大きい方の \(\dfrac1a\) だけで \(\dfrac13\) には届かず、逆に \(\dfrac1a\) を二つ分にすると \(\dfrac13\) を超えます。式にすると

\[ \frac1a < \frac13 < \frac2a \]

であり、整理すると \(3 < a < 6\)、すなわち \(a=4,\ 5\) に限られます。後半も同じ考え方です。\(a < b < c\) のとき、最大の \(\dfrac1a\) は和 \(\dfrac13\) の一部なので \(\dfrac1a < \dfrac13\)、また \(\dfrac1a\) を三つ分にすると和を超えるので \(\dfrac13 < \dfrac3a\) です。したがって

\[ \frac1a < \frac13 < \frac3a,\qquad 3 < a < 9 \]

となり、\(a\) は \(4 \leqq a \leqq 8\)、つまり \(4,\ 5,\ 6,\ 7,\ 8\) のいずれかに決まります。計算を始める前に候補がこれだけ絞れるのが、順序条件の威力です。

3つの逆数の和が3分の1になる関係から、最小の分母aが3より大きく9より小さい範囲に絞られ、整数では4から8に限られることを示す図
図1:逆数の大小から、最小の分母 \(a\) の候補が 4〜8 に絞られる。

単位分数の不定方程式はどの方針で解けばよい?

\(a\) を一つ固定すると、残る条件は

\[ \frac1b+\frac1c=\frac13-\frac1a=\frac{a-3}{3a} \]

という、二つの逆数の和が決まった値になるという形になります。右辺を既約分数で表すと、候補ごとに次のようになります。

最小の分母 \(a\) 4 5 6 7 8
残りの和 \(\dfrac{a-3}{3a}\) \(\dfrac1{12}\) \(\dfrac2{15}\) \(\dfrac16\) \(\dfrac4{21}\) \(\dfrac5{24}\)

\(a\) と \(b\) を決めれば \(c\) は一つに決まります。ここから先は、同じ一つの等式をどの角度から見るかで、複数の解法に枝分かれします。

  • \(b\) を直接絞る……\(b < c\) から \(b\) の範囲を出し、候補を代入する。候補が数個なら最速です(本解)。
  • 積が一定の形にする……\((pb-q)(pc-q)=q^2\) に直し、約数の対として数える。組数を数えるときに強力です(別解1)。
  • 分母の素因数を調べる……最小公倍数の整除性から、大きい \(a\) の整数解が存在しないことを示す(別解2)。
  • 和 \(b+c\) をまとめて扱う……対称和の動く区間と整除条件の両立を調べる(参考解1)。
  • 最大公約数で既約比にする……\(b,\ c\) を共通倍率と互いに素な比に分ける(参考解2)。

この記事では、最も再現しやすい本解に続けて、発想の核が異なる別解・参考解を合わせて5つ取り上げます。実戦では、最大値の証明と組数の計算を、それぞれ最短の方法で処理すれば十分です。

【本解】順序条件で分母の候補を絞り込む

特別な整数論の知識を使わず、不等式と代入だけで完走できるのが本解です。試験場で最も再現しやすい方法でもあります。

解法の流れ(3ステップ)

  1. 逆数の大小から、前半は \(a=4,\ 5\)、後半は \(4 \leqq a \leqq 8\) に絞る。
  2. 後半は \(b < c\) から \(b\) の範囲を求め、\(a=8,\ 7,\ 6\) を大きい方から調べる。
  3. 各 \(b\) に対して \(c\) を一つ求め、整数かつ \(b < c\) の組だけを数える。

試験場でそのまま書ける模範解答

前半。\(a < b\) より \(\dfrac1a < \dfrac13 < \dfrac2a\) だから \(a=4,\ 5\)。また \(\dfrac1b=\dfrac13-\dfrac1a=\dfrac{a-3}{3a}\) より

\[ b=\frac{3a}{a-3} \]

です。\(a=4\) のとき \(b=12\)、\(a=5\) のとき \(b=\dfrac{15}{2}\) となるので、整数の組は \((a,\ b)=(4,\ 12)\) のみ。したがって

\[ ab=48. \]

後半。\(a < b < c\) より \(\dfrac1a < \dfrac13 < \dfrac3a\) で \(4 \leqq a \leqq 8\)。残りは \(\dfrac1b+\dfrac1c=\dfrac{a-3}{3a}\) です。\(b < c\) より \(\dfrac1b < \dfrac{a-3}{3a} < \dfrac2b\) だから、\(a < b\) も合わせて

\[ \max\left\{a,\ \frac{3a}{a-3}\right\} < b < \frac{6a}{a-3}. \tag{1} \]

また元の式から

\[ c=\frac{3ab}{(a-3)b-3a}. \tag{2} \]

式 (1) により、式 (2) の分母は正です。大きい \(a\) から調べます。

\(a=8\) のとき、式 (1) は \(8 < b < \dfrac{48}{5}=9.6\) なので \(b=9\)。このとき \(c=\dfrac{72}{7}\) となり整数ではありません。よって \(a=8\) は不可能です。

\(a=7\) のとき、\(7 < b < \dfrac{21}{2}=10.5\) なので \(b=8,\ 9,\ 10\)。式 (2) は \(c=\dfrac{21b}{4b-21}\) となり、順に

\[ c=\frac{168}{11},\quad \frac{63}{5},\quad \frac{210}{19} \]

で、いずれも整数ではありません。よって \(a=7\) も不可能です。

\(a=6\) のとき、\(6 < b < 12\) で \(c=\dfrac{6b}{b-6}\) だから、

\[ \begin{array}{c|ccccc} b & 7 & 8 & 9 & 10 & 11\\ \hline c & 42 & 24 & 18 & 15 & \dfrac{66}{5} \end{array} \]

となります。\(6 < b < c\) を満たす整数解は

\[ (a,\ b,\ c)=(6,\ 7,\ 42),\ (6,\ 8,\ 24),\ (6,\ 9,\ 18),\ (6,\ 10,\ 15) \]

の4組です。以上より \(a\) の最大値は 6 で、求める値は \(\boxed{1}=48\)、\(\boxed{2}=4\) となります。

横軸b・縦軸cの平面に描いた2つの直角双曲線。a=8では実数の曲線上の点が整数の格子点に乗らず、a=6では曲線が4つの格子点をちょうど通ることを示す図
図2:同じ形の方程式でも、曲線が整数の格子点を通るかどうかで解の有無が決まる(\(a=8\) は整数解なし、\(a=6\) は4組)。

論述と計算のミスを防ぐコツ

式 (1) には \(a < b\) と \(b < c\) の両方を入れるのがポイントです。式 (2) で分母が正だと押さえておけば、不等号の向きを取り違えにくくなります。\(b\) を決めた後の \(c\) は一つに決まるので、候補を漏れなく調べれば数え上げまで完了します。注意したいのは、\(a=6\) の解を見つけただけでは最大性の証明にならないことです。\(a=8\) と \(a=7\) の両方で整数解がないことを示して、はじめて「最大値は 6」と言えます。

試験場での検算ポイント

\(a=8,\ 7,\ 6\) に対する \(b\) の候補数が、それぞれ 1 個・3 個・5 個と小さいことを確かめます。得られた4組は実際に代入すると確認できます。たとえば \((6,\ 10,\ 15)\) なら

\[ \frac16+\frac1{10}+\frac1{15}=\frac{5+3+2}{30}=\frac13 \]

とすぐに検算できます。

【別解1】積が一定の形に変形すると何が見える?

二つの逆数の方程式を、整数の積が一定になる形に直す方法です。整数解を約数の問題に置き換えられるので、組数を数える場面で特に力を発揮します。

解法の流れ(3ステップ)

  1. 二つの逆数の方程式を \((pb-q)(pc-q)=q^2\) の形に変える。
  2. \(a=8,\ 7\) は、約数の範囲と合同条件から整数解を排除する。
  3. \(a=6\) は \((b-6)(c-6)=36\) の約数の対を数える。

平行移動で積一定の式をつくる

前半は分母を払うと \(ab=3(a+b)\) で、両辺を移項して 9 を足すと

\[ (a-3)(b-3)=9 \]

になります。\(a < b\) かつ \(a > 3\) より \(0 < a-3 < b-3\) なので \((a-3,\ b-3)=(1,\ 9)\)、すなわち \((a,\ b)=(4,\ 12)\) で \(ab=48\) です。

後半は \(4 \leqq a \leqq 8\) のもとで、残差を既約分数 \(\dfrac{a-3}{3a}=\dfrac pq\) とおきます。\(\dfrac1b+\dfrac1c=\dfrac pq\) の分母を払うと \(pbc=q(b+c)\) となり、両辺を \(p\) 倍して整理すると

\[ (pb-q)(pc-q)=q^2 \]

が得られます。\(d=pb-q\) とおくと、\(a < b < c\) から

\[ d \mid q^2,\qquad \max\{0,\ pa-q\} < d < q,\qquad d\equiv -q \pmod p \]

が必要です。最後の合同条件は、\(b=\dfrac{d+q}{p}\) が整数であるための条件です。

a=7, 8 を約数と合同条件で排除する

\(a=8\) のとき \(p=5,\ q=24\) で、\((5b-24)(5c-24)=576\)、\(16 < d < 24\)。この範囲で 576 を割り切る整数は \(d=18\) だけですが、\(18\) を 5 で割った余りは 3、\(-24\) を 5 で割った余りは 1 で一致しません。よって不適です。

\(a=7\) のとき \(p=4,\ q=21\) で、\((4b-21)(4c-21)=441\)、\(7 < d < 21\)。この範囲で 441 を割り切る整数は \(d=9\) だけですが、\(9\) を 4 で割った余りは 1、\(-21\) を 4 で割った余りは 3 で一致しません。よって不適です。約数の候補があっても、\(b\) が整数に戻るとは限らないという点が要になります。

\(a=6\) のときは \(p=1,\ q=6\) で合同条件が自動的に満たされ、

\[ (b-6)(c-6)=36 \]

に帰着します。\(6 < b < c\) より \(0 < b-6 < 6\) なので、\(b-6\) は 36 の正の約数のうち 1, 2, 3, 4 の4通り。これが整数解がちょうど4組になる理由です。

X=b−6, Y=c−6 とおいた平面上に XY=36 の双曲線と9個の約数点を描き、X<Yを満たす4点だけが解になり、対角線上の点は除外されることを示す図
図3:\((b-6)(c-6)=36\) の約数の対のうち、\(b < c\) を満たす4組が解になる。対角線上の \(b=c=12\) は除外。

論述と検算のポイント

残差 \(\dfrac pq\) は必ず既約分数にします。\(p=1\) なら合同条件は自動ですが、\(p > 1\) では \(d \mid q^2\) だけでは足りません。また \((a-3)(b-3)=9\) や \((b-6)(c-6)=36\) は、元の逆数の和に戻せば確かめられます。\(b-6=6\)、すなわち \(b=c=12\) は対称点なので、\(a=6\) の組数には含めません。

【別解2】最小公倍数で整数解の不存在を示せるのはなぜ?

解を実際に求めずに、\(a\) が大きい場合の整数解が「存在しない」ことだけを先に示す方法です。分母の素因数が目立つ問題で効果的です。

最小公倍数についての必要条件

\(\dfrac1a+\dfrac1b+\dfrac1c=\dfrac13\) が成り立つとき、\(L=\operatorname{lcm}(3,\ b,\ c)\) とおくと

\[ \frac La=\frac L3-\frac Lb-\frac Lc \]

の右辺は整数です。したがって \(a \mid L\)、すなわち \(a \mid \operatorname{lcm}(3,\ b,\ c)\) が成り立ちます。これは解であるための必要条件で、これに反すれば整数解は存在しません。

a=7, 8 の整数解が存在しないことの証明

\(a \geqq 7\) と仮定すると \(b \geqq 8\) なので

\[ \frac1c=\frac13-\frac1a-\frac1b\geqq\frac13-\frac17-\frac18=\frac{11}{168}>\frac1{16} \]

より \(c < 16\)、つまり \(7 \leqq a < b < c \leqq 15\) です。この範囲で調べます。

\(a=8\) なら \(8 \mid \operatorname{lcm}(3,\ b,\ c)\) が必要です。ところが \(9 \leqq b < c \leqq 15\) の整数はどれも \(2^3\) を因数に持たないので、最小公倍数も \(8\) で割り切れません。矛盾するので \(a=8\) は不可能です。

\(a=7\) なら \(7 \mid \operatorname{lcm}(3,\ b,\ c)\) が必要なので、\(b,\ c\) の一方は 7 の倍数です。\(8 \leqq b < c \leqq 15\) にある 7 の倍数は 14 だけ。残りの分母を \(d\) とすると

\[ \frac1d=\frac13-\frac17-\frac1{14}=\frac5{42},\qquad d=\frac{42}{5} \]

で整数になりません。よって \(a=7\) も不可能で、\(a \leqq 6\) が分かります。\(a=6\) では \((b-6)(c-6)=36\) から4組が得られ、最大値が 6 であることと一致します。

検算で気をつけること

\(c \leqq 15\) という上界は、\(a \geqq 7\) を仮定した場合にだけ成り立ちます。最小公倍数の条件はあくまで必要条件なので、「満たすから解がある」とは言えない点に注意してください。使うのは、反したときに不存在を結論できるという一方向です。

対称和と既約比という2つの参考解

ここからは、発想の入り口が異なる参考解を2つ紹介します。最大値の証明そのものは本解や別解で十分ですが、整数問題の見方を広げるうえで役に立ちます。

参考解1:対称和 b+c の整数区間を使う

\(b,\ c\) を個別に求めず、和 \(s=b+c\) に注目します。残差を \(\dfrac pq\)、\(m=a+1\) とおくと \(pbc=qs\) から \(p \mid s\) が従います。\(b < c\) より \(s > \dfrac{4q}{p}\)、また \(b,\ c \geqq m\) から \(bc \geqq m(s-m)\) なので、\(pm > q\) のとき

\[ \frac{4q}{p} < s \leqq \frac{pm^2}{pm-q},\qquad p \mid s \]

が必要です。\(a=8\) では \((p,\ q,\ m)=(5,\ 24,\ 9)\) で \(\dfrac{96}{5} < s \leqq \dfrac{135}{7}\)、すなわち \(19.2 < s < 19.3\) 付近となり、整数 \(s\) がありません。\(a=7\) では \((p,\ q,\ m)=(4,\ 21,\ 8)\) で \(21 < s \leqq \dfrac{256}{11}\) かつ \(4 \mid s\) ですが、\(21\) より大きく \(24\) 未満に 4 の倍数はありません。こうして \(a=8,\ 7\) を排除できます。整数が存在することと、指定した倍数が存在することを混同しないのがポイントです。

参考解2:最大公約数で既約比にする

\(b=gu,\ c=gv\)、\(\gcd(u,\ v)=1\) と表します。\(pguv=q(u+v)\) で、\(\gcd(uv,\ u+v)=1\) から \(uv \mid q\)、\(\gcd(p,\ q)=1\) から \(p \mid (u+v)\) が出ます。\(a=8\) では \(uv \mid 24\) かつ \(\dfrac23 < \dfrac uv < 1\)、\(5 \mid (u+v)\) を満たす既約比は \((u,\ v)=(3,\ 4)\) のみですが \(u+v=7\) は 5 の倍数でないため不適。\(a=7\) でも \((u,\ v)=(3,\ 7)\) に対し \(u+v=10\) が 4 の倍数でないため不適です。\(a=6\) では \(uv \mid 6\) を満たす既約比が \((1,\ 2),(1,\ 3),(1,\ 6),(2,\ 3)\) の4通りで、\(g=\dfrac{6(u+v)}{uv}\) から \((b,\ c)=(9,\ 18),(8,\ 24),(7,\ 42),(10,\ 15)\) が復元され、やはり4組になります。別解1とは入口が違いますが、整数解の分類としては同じ構造です。

5つの解法をどう使い分ける?本問から学べること

5つの解法は、発想の核で次の4系統に整理できます。値を直接決める逐次決定(本解)、積一定・既約比で全解を分類する乗法的な方法(別解1・参考解2)、対称和の区間で存在を否定する方法(参考解1)、素数の冪の共有から不存在を示す方法(別解2)です。本問での相対的な目安をまとめると次のようになります。

観点 本解 別解1 別解2 参考解1 参考解2
発想の自然さ 高 中 中 中 中
計算量の少なさ 高 高 高 中 中
試験場での再現性 高 高 中 中 中
組数を数える確かさ 中 高 中 中 高
他問題への応用性 高 高 高 中 高

(評価は本問での相対的な目安であり、一般的な優劣ではありません。)実戦では、まず本解で候補を絞り、組数の完全性が気になるときに別解1の約数の対で確かめる、という組み合わせが扱いやすいでしょう。冒頭に挙げた「本問から学べること」を、ここで振り返ります。

  • 順序で有限化する。\(a < b < c\) から \(4 \leqq a \leqq 8\) が出て、調べる範囲が一気に狭まりました。
  • 実数解と整数解を区別する。\(a=8,\ 7\) でも実数の組は存在しますが、整数にはなりませんでした。最後は必ず整数性で判定します。
  • 最大値は構成と排除の両輪で示す。\(a=6\) の実現だけでなく、\(a=8,\ 7\) の不存在を示して最大性が確定しました。
  • 個数は約数の対で数える。\((b-6)(c-6)=36\) の約数の対と一対一に対応させることで、漏れも重複もなく4組と数えられました。

この4点は、他の単位分数の問題や、医学部・難関大で頻出の整数問題にもそのまま使える考え方です。

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整数問題で解法が安定しないときは何を見直す?

整数問題で手が止まるとき、原因は計算力そのものよりも、「どの方針から入るか」の判断にあることが多いものです。自力で解法選択を安定させたい受験生が、まず見直すとよい観点を挙げます。

  • 条件を順序・大小で先に絞ったか。いきなり代入を始める前に、未知数の範囲を有限にできないかを確認します。
  • 実数の範囲で考えたのか、整数で考えたのかを区別したか。「それらしい組」が見つかっても、整数性の確認を飛ばしていないかを点検します。
  • 「最大・最小」や「個数」を問われたとき、証明の型を使い分けたか。最大値なら構成と排除、個数なら約数の対との対応、という型を意識します。
  • 解いた後に、別の方法で検算したか。本解で求め、別解の因数分解で数え直すなど、二通りで確かめる習慣が得点の安定につながります。

こうした観点は、問題を一人で解くだけではなかなか身につきません。自分の答案のどこで判断を誤りやすいかは、解き方の手順を言語化して、第三者と一緒に振り返るのが近道です。志望校の過去問を題材に、解法選択の型を一つずつ確認していくと、初見の問題にも落ち着いて手がつけられるようになります。

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    Q&A

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    後半は全部の組を数えなくても解けますか?

    はい。問われているのは \(a\) が最大のときの組数なので、\(a\) の大きい方から調べ、最初に整数解が実現した値で止めれば十分です。\(a=4,\ 5\) の解をすべて求める必要はありません。すべての組を数える問題であれば、全候補を扱う必要があります。

    なぜ a=7 や a=8 で解がないと言い切れるのですか?

    これらの \(a\) でも、方程式と大小関係を満たす「実数」の組は存在します。たとえば \(a=8\) では \((b,\ c)=\left(9,\ \dfrac{72}{7}\right)\) です。しかし \(c\) が整数にならないため、整数解としては存在しません。実数解の有無と整数解の有無は別物で、最後は必ず整数性で判定します。

    積が一定になる形への変形は、どんな問題で使えますか?

    \(\dfrac1x+\dfrac1y=\dfrac1n\) の形なら \((x-n)(y-n)=n^2\)、一般の既約分数 \(\dfrac pq\) なら \((px-q)(py-q)=q^2\) に直せます。整数解の個数を数えるときに特に有効です。ただし \(p > 1\) のときは、約数であることに加えて合同条件も確認する必要があります。

    この問題は難関大の整数対策にどうつながりますか?

    順序条件で範囲を絞る、積一定の形で約数に対応させる、最小公倍数で不存在を示す、といった手法は、医学部や難関大の整数問題で繰り返し問われる定番です。本問は、それらを一つの題材でまとめて練習できる良問といえます。

    参考文献

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